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2026/8/16 · 生殖補助医療

夫(パートナー)の精液検査、どの項目がいちばん大事?

略語がびっしり並んだ1枚のうち、次の一手を本当に左右するのは3〜4行だけです。そしてこの検査には、もともと結果がぶれやすいという性質があります。1回の結果でわかることは、思っているより少ないのです。

その紙は、たいてい彼がひとりで受け取り、ひとりで持ち帰ってきたものです。家に帰ってテーブルに置いたまま、ふたりとも何も言いません。あなたが手に取ると、上から下まで十数行の略語と数字が並び、何行かには下向きの矢印がついています。一つずつ検索してみると、かえって混乱します。この項目が低ければもう望みはない、と書くページもあれば、たいしたことではない、と書くページもあります。

先に結論をお伝えします。この検査結果が治療の流れの中で果たす役割は、主に「どの受精方法を選ぶか」と「先に男性不妊外来を一度受診するか」を医師が判断する材料になることです。誰かに判決を下すためのものではありません。以下、実際に目にする順番に沿って見ていきます。

1. まず受け入れておきたいこと:1回の結果でわかることは多くない

精液検査の数値は、同じ人でも変動します。禁欲期間、最近の発熱の有無、疲労の度合い、採取した精液をすべて容器に入れられたか、検査室に届くまでの時間や保管条件。こうしたことがすべて、あの1枚の数字に影響します。

これは気休めではありません。ここからとても実際的なことが言えます。1回の結果をもとに大きな決断をする前に、まず今回の採取条件が適切だったかを確認してください。具体的には次の点です。

  • 禁欲期間が、医療機関の指定する範囲に収まっていたか(指定される期間は施設ごとに多少異なるため、受診先の書面での指示に従ってください)。
  • 精液をすべて容器に採取できたか。最初の部分がこぼれると、結果に大きく影響します。
  • 採取から提出までの時間と温度が、指示どおりだったか。

このうち一つでも守れていなければ、その結果の参考価値は割り引いて考える必要があります。多くの医療機関では、それをもとに判断する前に、間隔をあけてもう一度検査するよう求めています。

2. 実際に判断に使われるのは、この数行

一般的な精液検査で、繰り返し確認されるのは次の項目です。

  • 精液量:今回採取された全体の量です。
  • 精子濃度と総精子数:この二つは別のものです。総精子数はおおよそ濃度に精液量をかけた値なので、精液量が多いと濃度は「薄まって」低く見えても、総精子数は少なくないことがあります。濃度だけを見て総精子数を見ないのが、いちばんよくある読み違いです。
  • 運動率、とくに前進運動率(PRと表記されることが多い):「動いているかどうか」だけでなく、「一定の方向に進んでいるかどうか」を見る項目です。
  • 形態(正常形態率として表記されることが多い):この項目は判定基準が非常に厳しいため、問題のない人でも数値はかなり低く見えます。日常の感覚で読まないでください。これは「合格率」ではありません。

そのほかの項目(pH、液化時間、白血球、抗精子抗体など)は、多くの場合は手がかりとしての意味合いが強く、上の項目とあわせて解釈するのが一般的です。

基準値について、もう一つ別にお伝えしておきたいことがあります。検査結果に並ぶ基準値の列は、通常、WHOの検査マニュアル(WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen、現在広く使われているのは第6版)に基づいています。この下限値は人口データから統計的に出した下限で、合格ラインではありません。1年以内にパートナーが自然妊娠した男性を集め、その中で下位5%にあたる値を取ったものです。下限を下回っていても妊娠できないとは限らず、上回っていても問題がないとは限りません。これは層を分けるための物差しであって、採点の合格点ではないのです。

3. この結果が体外受精の次のステップにどう影響するか

主に二つの場面に影響します。

一つ目は、受精方法の選択です。通常の体外受精は、処理した精子と卵子を一緒にして、受精そのものは自然に任せる方法です。顕微授精(ICSI)は1個の精子を卵子の中に直接注入する方法で、一般に精子の条件がよくない場合や、過去の受精率が低かった場合に用いられます。ここで一つ、はっきりさせておきたい誤解があります。ICSIが解決できるのは「精子が卵子に入れない」という問題で、「卵子そのものの状態」の問題は解決できません。お金を払えば誰にとっても上位になる選択肢ではなく、使うかどうかは男性側の数値とこれまでの周期の経過によって決まります。

二つ目は、先に男性不妊外来を受診するかどうかです。結果にはっきりした問題が示されている場合、そのまま周期に入るのではなく、男性側を単独で評価するのが一般的です。評価には、身体診察、ホルモンなどの血液検査、画像検査、必要に応じて遺伝学的な検査が含まれることがあります。この道筋に意味があるのは、原因がはっきりしていて対応する治療がある場合も一部あるからです。回り道をするより、原因を見つけるほうが結果的に得になります。

ここで、私たちの成約にとっては不利な一文を書きます。それでも、この記事でいちばん覚えておいていただきたい一文です。

結果から男性側の評価が先に必要だと示されているなら、その評価を先に受けるほうが、卵巣刺激の周期を先に組むより、たいていは費用も時間も節約できます。言い換えれば、この結果を見たあと、体外受精に来ることではなく、別の診療科を受診することが正しい次の一歩になる人もいるということです。多くの相談の場で本来伝えられるべきなのに、伝えられないことが多い一文なので、ここに書いておきます。

4. 次の再検査までに、彼ができることと、しなくていいこと

できることは、どれも検査結果を信頼できるものにするためのことです。

  • 医療機関の指定する禁欲期間を守って採取する。自己判断で延ばしたり短くしたりしない。
  • 最近発熱した、体調を崩した、薬を使った場合は、時期も含めて医師に正直に伝える。
  • 採取時は精液をすべて容器に入れ、指定された時間と条件で提出する。
  • 再検査はできるだけ同じ検査室で受ける。検査室ごとの測定の違いが比較の邪魔をしないようにするためです。

期待しなくていいこと:これらの数値を改善するとうたうサプリメントや施術は数多く出回っていますが、公開されている根拠の強さはまちまちで、結論も一致していません。私たちは、それらを男性不妊外来での評価を省く代わりとしておすすめすることはありません。本当に必要な場合、薬やサプリメントは評価の結果をもとに医師が判断するものです。

5. 次にすること:今日、この4行に印をつける

次の受診を待たなくても、今夜のうちにできます。

  • 検査結果を写真に撮り(氏名や身分証番号などの個人情報は隠してください)、精液量、濃度、総精子数、前進運動率の4行に丸をつけ、さらに形態の行にも印をつけます。
  • その横に、今回の採取条件を書きます。禁欲期間は何日だったか、すべて採取できたか、採取から提出までどれくらいかかったか。思い出せなければ「不明」と書いてください。「不明」ということ自体が、役に立つ情報です。
  • この二つを同じフォルダに保存します。以前の検査結果があれば一緒に入れて、日付順に並べておきます。

そのうえで、それを持って医師に三つのことを聞いてください。

  • この結果なら、まず再検査が必要ですか。再検査の前に私たちが気をつけることは何ですか。
  • 先に男性不妊外来での評価を受ける必要がありますか。必要な場合、評価には通常どんな内容が含まれますか。
  • 今回の周期では通常の体外受精と顕微授精(ICSI)のどちらがすすめられますか。その理由は何ですか。

結果は手元にあるのに略語が読めない場合は、個人情報を消したうえで私たちに送ってください。まず各行が何を意味するのかを書き添え、診察の場で要点を押さえた質問ができるようにします。私たちは診断を行わず、医師に代わって結論を出すこともありません。

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